ひっくり返ったセミのそばを通りかかると、暴れながらすごい大音量でジージー鳴きだす。玄関の前にひっくり返ったセミがいると本当にゆううつだった。
パートをはじめた夏。セミが仕事場の中でよくひっくり返っていた。近くに寄らず息絶えるまでほうっておくか、掃除機で吸い取っていた。
ある日、先輩のパートさんに言われた。
「ひっくり返ったセミ、外に逃がしてあげてくださいね。」
こわごわと、トングでセミをつまんで外へ。だんだんと、外につぶれたセミがいっっぱいいるのが気になりはじめた。
街路樹にそっとセミをくっつけると、自分でちょっとづつ移動している。ちょっとづつ暑いから日のあたらない裏側へ。その日は仕事中なんどもセミを確認していた。
また別の日のこと。セミをつまんで外へ持っていった。
セミはまったく鳴かない。弱っているんだな。もう、外へ逃がしても無駄かもしれないなと想いつつ街路樹にの幹にそっと置いて、一時間ほど様子を見ていた。突然セミが林のある方向へ飛び立っていった。
『8日目の蝉』って映画があったな。観てないからどんな話か知らないけれど。
8日目の蝉はなにを考えているんだろう。
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